ボイストレーニングコラム

ボイストレーニングには筋トレ!?良い声になるために鍛えるべき場所とは

歌がうまくなるためにボイストレーニングを受ける、これはよくわかる話ですね。しかしトレーニングの一環で筋トレをすると良い、という話をしばしば耳にしますが、これは実際に有効なのでしょうか? プロのミュージシャンでも、毎日筋トレやってそうだな、という人もいれば、凄く太っていたり、ひょろりと痩せていたりして筋トレのイメージが似合わない人もいますよね。

実在のミュージシャンは置いておくとして、このコラムでは筋トレは歌がうまくなるために有効なのか、解説します。

筋トレを行うことによって発声が安定し、歌うための基礎体力が鍛えられる

学校の音楽の時間などに「お腹から声を出す」という表現を聞いたことがあると思います。これは「腹式呼吸」という方法のことを指しています。これによって声量がアップしますし、声域を広く使ったり、ロングトーン(一音を長く伸ばす技法)やビブラート(音程を細かく上げ下げして響かせる技法)を使ったりするにも腹式呼吸は必要です。

腹式呼吸を行うには腹筋が必要なのですが、これはシックスパックと呼ばれる6つに割れた腹筋とは位置が違い、腹斜筋と呼ばれる部位を使います。腹斜筋をきたえるには、足上げ、上体起こし、サイドクランチなどの筋トレが有効です。

また、腹筋だけでなく背筋をきたえることも上手く歌うことに役立ちます。しっかり声を出して歌うには背筋を伸ばす姿勢が大事だからです。さらに正しい姿勢を維持するには、もちろん下半身も重要です。

安定した声を出すためには、声帯の周辺の筋肉もきたえる必要があります。これは腹筋や背筋のような筋トレ的なものではありませんが、直接声を左右する部分なので最も重要なトレーニングと言って良いでしょう。

歌うことに直結した筋肉を挙げてきましたが、基本的に体をきたえることは歌うための基礎体力作りにつながります。ボイストレーニングを行う人でも、何曲くらい歌い続けるかはそれぞれ違いますが、例え一曲でも歌いきるにはそれなりの体力が必要ですから、そういった点でもやはり筋トレは有効な手段です。

歌の上達に効果的な筋トレ方法

上記であげた筋肉の具体的なきたえ方を上げましょう。

腹斜筋のきたえ方

●足上げ
仰向けに寝転び、両方の足を床から10~15㎝程度持ち上げます。膝を曲げないこと、腰を浮かさないことを意識しながらそのまま20秒保持し、お腹に力が入っていることを意識して息をゆっくり「ふぅー」と吐き出します。慣れたら時間を少しずつ伸ばしていくことで、いっそう腹斜筋がきたえられます。

●上体起こし
床に仰向けに寝て膝を立て、腹筋を使って床から少しだけ上体を起こし、停止します。そのまま腹筋に力が入っていることを意識しながら、3回息を吐いてから、上体を完全に起こします。上体をキープする角度は、自分自身が辛いと思う位置が理想です。腰を痛める可能性があるので、無理が無い程度に行ってください。

●サイドクランチ
横向きに寝転び、肩肘で身体を支えながら状態を起こします。息を吐きながらお腹をへこませることを意識してください。その後上体をおろしながら息を吸い込みます。5回から10回繰り返すと良いでしょう。

背筋のきたえ方

うつぶせに寝転び、両手を太ももの側面につけて、息を大きく吐きながら上体をそらします。5回程度から始め、慣れてきたら回数を増やしましょう。腹筋と背筋は連動性があるので、セットできたえることで相乗効果が期待できます。

声帯の周辺の筋肉トレーニング

あくびを行うことによって声帯の周辺の筋肉は効果的にきたえられます。これを応用してあくびの動作をしながら発声練習を行いましょう。のどの動きを意識することで、よりいっそう有効になります。

下半身の強化

スクワットなどで太ももを強化することは発声に良い影響を与えます。立った状態で両かかとを接触させてつま先を開く動作は、内ももをきたえます。

まとめ

結論として、歌が上手になるためには筋トレは有効な手段です。とは言えムキムキのマッチョな姿を目指す必要はありません。ボディービルダーのような見せるための筋トレではなく、歌うことに役立つ適切な部位を意識しながら筋トレを行いましょう。

また、急激に無理な筋トレを行って身体を痛めてしまっては意味がありませんから、慣れない人はそれぞれのレベルに合わせて少しずつきたえていきましょう。

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