人前で歌をうたう機会があると、「もっとうまく歌えたら楽しいだろうな」と思うことは誰にでもありますよね。そんな時のために「ボイストレーニング」というものがあるのは多くの方がご存知だと思います。
しかし、「ボイストレーニングは子供や若い人が行くところで、大人になってから行くのは恥ずかしい」「気後れする」とお悩みの方もおられるようです。このコラムではそんな方のために、ボイストレーニングを始めるのに年齢は大事なのか? という疑問にお答えします。
年を取っても歌は上手くなれる!
もちろん、何にしても習い事は「早い方がいい」というのは、間違いではありません。では大人になってから歌が上達するのは不可能なのでしょうか? いいえ、そんなことはありません! 歌が上手くなりたい、と思う気持ちがあれば、何歳であっても今より上達できることは間違いのない事実なのです。
何を目指すか、というゴール設定によってハードルの高さは変わります。知り合いとカラオケに行って気分よく歌いたい、プロではないけどバンドでボーカルをやりたい、歌手デビューしたい、などそれぞれの目標があれば、トレーナーはそこに合わせて出来る限りのことを教えます。
大人になる前に始めた方がリズム感の習得などは効率がいいですし、音程、発声方法、活舌なども、平均的に子どものうちに始めた方が良い、というのは確かです。よく言われる「絶対音感」というものは、確かに年齢を重ねてから手に入れるのは無理でしょう。
しかし、「歌がうまい」というのは声量やテクニックを含む総称です。例えば以前より高い声が出せるようになった、ビブラートを習得した、などのことは練習さえすれば何歳からでもできますし、それによって周囲の方に「上達した」と言わせることは可能なのです。
無理に早いうちからボイストレーニングを始めるよりも、モチベーションが高い時に始めたほうが継続する
子どものうちに始めた方が良い、というのはあくまでも平均的な話です。仮にやる気がないのに無理やりボイストレーニングを習わせられている子どもと、やる気に満ち溢れた大人であればどうでしょう。もちろんやる気がある大人の方が圧倒的に上達しますし、何よりも長続きします。継続は力なり、つまりボイストレーニングを始めるのに最も重要なのは、年齢よりもモチベーションの高さなのです。
また、早い方が良いという観点に立っていえば、「やってみたいけどどうしよう」と思いながら数年を過ごすと、わずかとはいえ今より不利になるのは間違いありません。これも含めて、ボイストレーニングを始めるのに適しているのは、「歌がうまくなりたい!」と思った時です。
高年齢によるハンデは声帯周りの筋肉とホルモン関係のみ
年齢が高いことによるハンディキャップは存在しない訳ではありません。個人差があるので一概には言いにくいですが、平均的に不利な点を挙げるとすれば、男女問わず声帯の周辺の筋肉が衰えていることと、女性の場合、男性ホルモンの分泌量が増えることで女性特有の高い声は出にくい、という程度です。
上記の2つのハンディキャップについても、実はトレーニングによってカバーすることができます。声帯は出す音の高さなどに合わせてゴムのように伸び縮みを行います。高い音を出そうとするほど伸びようとします。しかしこの動きは使っていないと自然に衰えてしまうので、年齢とともに高い音は出にくくなるのです。しかし適切なトレーニングをすれば、ある程度取り戻すことは可能です。もちろん人によってかかる時間は異なりますが、積み重ねていくことでクリアできる問題ですから、それも含めて上達を楽しめる要素、とポジティブに考えましょう。
つまり、ボイストレーニングは遅くからはじめても意味が無い、というのは間違いです。上達したい気持ちがあって、継続して練習すれば必ず上達するものです。
まとめ
ボイストレーニングを始めるにあたって、最も大事なのは年齢ではありません。もちろん才能があるかないかなんてことも関係ありません。ただ、「歌をうまく歌いたい」という気持ちさえあれば、いつでも誰でも必ず成長することができます。これまで、「いってみたいけどどうしようかな」、と思っていた方は、これを機会に是非チャレンジしてみてください。